以前持っていたけど、知らぬ間に見当たらなくなったていたのでkindleで購入。
実はミスター高橋本でも読もうかなと思ったんだけど、なんだかこっちがまた読みたくなってしまったのです。
UWF系だと少し前に話題になった「1984年のUWF」を読んだので大体のUの流れは分かっていた。
その上で高田目線で、そして伝説の北尾戦等についてもう一度読みたかった。
読み終えて
UWF自体が爆発的な人気を得るも結局なんだかんだで一度もしっかり安定しきらないまま進む船の為、そこに所属し続けた高田はやはりずっとどこか疲弊していた。
特にUインターの社長になってからはファイターとしての練習に思うように集中出来ないジレンマがかなり大きかった模様。
世紀の一戦
正に総合格闘技の創世記に行われたあの戦い。PRIDEの始まり。
読んでみると高田は心身共にズタボロで当日起きた時から負けは決まっていた様な状態だったのだ。
その悲哀も相まってか、あの究極の入場シーンが生まれたとも言えるが。
1戦目同様あっさり負けてしまった様に見える2戦目は本人的にコンディションは良く、手応えは有った様だ。敗因もそれなりに分かっているらしい。
プロレスファンの絶望
自分はこの頃プロレスを観なくなっていたのだが、この時の高田はプロレスファン全ての期待、想い、いや、プロレスというもの自体を背負って戦ったのだ。
それ故負けは余りにも大きかった様だ。
それを痛感したのが「有田と週刊プロレスと」のシーズン2のNo19、20で熱く語る有田さんと大木さんを観てでし。
ネプチューンの面々と会場で高田敗戦を観た有田さんは帰り電車に乗る事も出来ずトボトボと歩いて帰ったそうです。そして、他の多くの客も同じく歩いて。。。
なんか分かりますよね。大き過ぎる悲しみと喪失感の中、それを共有してない人々と同じ電車に乗りたくない。ただただ自分の足で帰りたい。もはや帰りたくもない。
まとめ
後追いとはいえ、あの時のプロレスの状況、ヒクソンの表れ方、高田の存在を考えるとあの敗戦の意味は計り知れません。
今に例えると、、、、、、、といっても例えられない。
プロレスのあそこまでの軌跡、そして、Uインター、
更にまだ世になんとなく出始めたばかりの総合格闘技、グレイシー柔術。
これら全てが揃ってこそのあの戦いなのです。
今オカダカズチカとUFCのチャンピオンが戦うのとは全く意味が違う訳です。
所謂「幻想」と「幻想」の戦い。
UWFという奇跡的に「幻想」を原動力に走っていた団体のエース高田と突如仙人の様な「幻想」に満ちた男ヒクソングレイシーが戦った事が奇跡でした。
つまりあの敗戦の衝撃、ショック、悲しみこそが奇跡的であり。少なくとも全く同じ種の物を味わう事は良くも悪くも出来ないのです。
あの時代あの日あの時あの場所でしか味わえない、あの敗戦を目の当たりにした人、そして遠巻きながら共有した自分はある意味とても恵まれているのかもしれない。
綺麗事ではなく夢を乗せた「俺たちの○○」が完膚なきまでに敗れる。そんな苦過ぎる貴重な体験を俺たちは忘れない。。。

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